犬心臓バイオマーカー【NT-pro ANP】受託開始のお知らせ

謹啓
 
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
このたび下記検査項目の受託を開始いたしますので、ご利用いただきたくご案内申し上げます。

謹白

 

     記     

N末端プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(NT-pro ANP)は左心房の負荷状況を反映し、臨床的に無兆候の時から上昇することから、犬に多い僧帽弁閉鎖不全症や、うっ血性左心不全のバイオマーカーとして有効であると考えられています。

■ 新規受託項目:
イヌ NT-pro ANP 〔項目コード:5275〕

■ 新規受託開始日:
2021年5月24日(月)受付分より

■ イヌ NT-pro ANP

 NT-Pro ANPは心房筋細胞の粗面小胞体でprepro ANPとして合成され、ゴルジ装置でアミノ酸126残基のpro ANPとなり分泌顆粒内に貯蔵されます。放出時には、生理活性をもたないN末端側アミノ酸98残基(NT-pro ANP)と生理活性を持つC末端側アミノ酸28残基(ANP)が1対1で切り離され放出されます。

 ANPは本来の受容体とクリアランス受容体に結合して循環系から急速に消失するので、半減期が短く、血中濃度の正確な測定は困難を伴います。一方、NT-pro ANPは受容体による代謝を受けないので半減期が長く、血中濃度の正確な測定が容易なためANPの動態を推測しやすいことが大きな特徴です。

 NT-Pro ANPは左心不全によって顕著に上昇することが知られており、右心不全ではあまり上昇しないため、犬の心疾患で最も多い僧帽弁閉鎖不全症(MVD)のバイオマーカーとして有用であると考えられています。